序章:休むってどうしたらいいの?
休職を決断した後、思ったのは「休むって具体的にどうすればいいの?」ということでした。
心や体を休めることが目的だったのに、ぼーっとしようとするとネガティブな考えが頭をよぎり、逆に疲れてしまう日々が続きました。このような状態の中で、どうやって自分を取り戻していったのか、私の体験をお伝えします。
迷いのループにとらわれる日々
休職中、何をするにも決断が難しく感じました。たとえば、食材を買うだけでも、「健康的なものを買いたい」「でもお金を節約したい」「そもそも食べたいものがわからない」と悩み、スーパーで3時間も過ごしてしまうこともありました。これが日常となると、「自分は何をやっているんだろう」という自己嫌悪に陥ることもありました。
この時期、特に印象に残っているのは、デジタルデトックスを目的に鎌倉を訪れた日のことです。スマホを持たずに神社を参拝し、海を眺め、食べ歩きを楽しんだその日は心が軽くなりました。でも、心理カウンセラーには「頑張りすぎ」と言われ、自分のペースを模索する難しさを実感しました。

小さなきっかけがくれる安らぎ
ある日、無計画で埼玉県から鈍行で約4時間かけて名古屋へ1泊・伊勢周辺2泊する旅を実行しました。体力が低下していた時期であり旅行後は疲労感で一杯でしたが、偶然宿泊したホステルのオーナーは聴覚障害があるにも関わらず、素晴らしいおもてなしとで居心地の良さと安心感がありました。

また、職場の近所を自転車で全力疾走している時、古民家で集会所を運営している男性に出逢いました。初対面にもかかわらず、私が悩みを話すと、その男性はこう言ってくれました。
「悩みがある人と会えて話を聞けて嬉しい。」
この言葉にハッとしました。悩みを隠したり、無理に強がったりする必要はなく、素直に話すことで心が軽くなることを実感しました。それ以降、少しずつ自分の気持ちを他者に共有することの大切さを意識するようになりました。

そして、近所の古民家サロンでアロマヨガに参加したときにも、心がふっと軽くなる感覚を味わいました。ヨガのあと、久しぶりにぐっすり眠れたことは忘れられません。
これらの経験を通じて、「自分に合った小さな安心感を見つけること」が回復の鍵だと気づいたのです。
安心感が薬になる
カウンセリングで「安心感が私にとっての薬」という言葉をもらったとき、初めて「自分を安心させることが最優先」だと納得できました。
それまでは、「何かをしなければ」「解決策を見つけなければ」と焦っていたのですが、脳も体の一部であり、ただ休むことが必要だと学びました。
また、休職中に「放っておく努力」という言葉を聞き、少し肩の力を抜いてみることにしました。たとえば、未来の不安を考えるのではなく、今日1日をどうやって穏やかに過ごすかに集中しました。
小さな一歩が未来をつくる
この時期の経験から学んだのは、心の葛藤にとらわれていても、自分に合った「安心」を見つけることで少しずつ前進できるということです。
もし、同じような迷いや不安を抱えている方がいれば、無理に答えを出そうとしなくていいと伝えたいです。焦らず、小さな一歩を見つけることで、少しずつ明日が変わっていきます。


Pingback: 講演会~旅するセラピストとして前進 – 旅するセラピスト